アップル社の歴史（前編）

Apple Inc.の歴史は、1976年の設立から現在に至るまで、技術革新とビジネス戦略の連続的な進化を反映しています。

### **1. 設立と初期の歴史（1976年〜1980年）**

Apple Inc.（当初はApple Computer, Inc.）は、1976年4月1日にスティーブ・ジョブズ、スティーブ・ウォズニアック、ロナルド・ウェインによって設立されました。彼らは、カリフォルニア州ロスアルトスのガレージで最初の製品であるApple Iを開発しました。Apple Iは、1976年に販売が開始され、家庭用コンピュータ市場に革新をもたらしましたが、基本的なコンポーネントをユーザーが自分で組み立てる必要がありました。

その後、1977年にApple IIが発売されました。Apple IIは、初めての大規模な成功を収めたパーソナルコンピュータであり、内蔵のカラーグラフィックスや拡張スロットなどの革新的な機能を備えていました。このモデルの成功により、Appleは急速に成長し、コンピュータ市場での地位を確立しました。

1978年には、Appleの最初のオフィスがカリフォルニア州サンタクララに設立され、同年にはApple IIIも発売されました。Apple IIIは、Apple IIの成功に続く製品であったものの、市場での失敗により、Appleの初期の試みの中での重要な教訓となりました。

### **2. 成長と挑戦（1981年〜1989年）**

1981年、Appleはジョン・スカリーを新CEOとして迎え入れ、会社の成長と市場の拡大に努めました。1983年には、画期的なグラフィカルユーザーインターフェース（GUI）を採用したLisaが発表されました。Lisaは、コンピュータの操作を直感的にするための先駆的な試みであり、その後のマッキントッシュ開発に大きな影響を与えました。

1984年には、Appleがマッキントッシュ（Macintosh）を発売しました。マッキントッシュは、GUIを搭載した最初の成功したパーソナルコンピュータであり、そのデザインと使いやすさで広く評価されました。特に、1984年に放送された「1984」スーパーボウル広告は、Appleのイメージを大きく印象づけるものでした。

1985年には、スティーブ・ジョブズがAppleを辞任し、NeXT Inc.を設立しました。その後、Appleは経営難に直面し、特にマッキントッシュの販売が低迷する中で、企業の再編成を余儀なくされました。

### **3. 再生と革新（1990年〜1999年）**

1990年代に入ると、Appleは新たな製品ラインの開発に注力しました。1991年には、ポータブルコンピュータの分野で成功を収めたPowerBookが発表され、ノートパソコン市場での地位を確立しました。

1993年には、AppleはNewton MessagePadを発売しました。これは、パーソナルデジタルアシスタント（PDA）の先駆けであり、手書きの文字認識機能を備えていましたが、商業的にはあまり成功しませんでした。

1996年には、AppleがNeXT Inc.を買収し、スティーブ・ジョブズがAppleに復帰しました。ジョブズの復帰は、Appleに新たなエネルギーをもたらし、企業のビジョンを再構築する重要な転機となりました。
 

後編に続く