オペレーティングシステムの歴史（前編）

オペレーティングシステムの歴史
オペレーティングシステム（OS）は、コンピュータハードウェアとソフトウェアの間で、リソースの管理と制御を行う基盤ソフトウェアです。その歴史は、コンピュータの発展とともに進化してきました。以下に、その歴史的な進展を詳しく見ていきましょう。

1. 初期のコンピュータとOSの起源
1940年代 – 1950年代初頭: コンピュータの初期には、プログラムは機械語またはアセンブリ言語で手動で入力されていました。この時期のコンピュータは巨大で高価であり、専門のオペレーターが直接ハードウェアと対話していました。初期のコンピュータには、OSの概念は存在していませんでした。

1950年代中頃: 最初のOSの前身といえるのが「バッチ処理システム」です。これには、プログラムをジョブとしてまとめて一度に実行する方式が採用されており、ジョブスケジューリングやリソースの管理が行われました。この時期、IBMの「IBM 701」や「IBM 7094」などの大型コンピュータが、ジョブコントロール言語（JCL）を使ってリソースを管理しました。

2. 1960年代: マルチプログラミングと初期のOS
1960年代: コンピュータの使用が拡大し、より複雑なタスクを処理する必要が生じました。この時期、マルチプログラミングの概念が登場しました。マルチプログラミングは、一つのプロセッサで複数のプログラムを並行して実行する技術です。

UNIVAC I (1950): 初期の商業用コンピュータで、オペレーティングシステムとして「UNIVAC EXEC I」が搭載されました。

IBM OS/360 (1964): IBMのSystem/360シリーズとともに登場したOSで、当時としては非常に高度な機能を持っていました。OS/360は、複数のタスクを効率的に処理するための強力な機能を備えており、以後のOS設計に大きな影響を与えました。

MULTICS (1965): MIT、GE、AT&Tが共同で開発したMULTICS（Multiplexed Information and Computing Service）は、初期の時点でマルチユーザー・マルチタスクシステムを実現し、後にUNIXに多大な影響を与えました。

3. 1970年代: UNIXの誕生と商業化
1970年代: コンピュータとオペレーティングシステムの進化が加速しました。

UNIX (1969): AT&Tのベル研究所で開発されたUNIXは、マルチユーザー、マルチタスク機能を備えた初期のOSであり、広く普及しました。UNIXのシンプルでモジュール化された設計は、その後の多くのOSに影響を与えました。UNIXはコマンドラインインターフェース（CLI）を提供し、その後のオペレーティングシステムの基本概念を形成しました。

CP/M (1974): Gary Kildallが開発したCP/M（Control Program for Microcomputers）は、パーソナルコンピュータ向けの初期のOSであり、個人用コンピュータの普及に寄与しました。CP/Mは、ディスク管理やファイルシステムの概念を提供しました。

4. 1980年代: パーソナルコンピュータの登場
1980年代: パーソナルコンピュータ（PC）の登場と共に、OSの普及と多様化が進みました。

MS-DOS (1981): MicrosoftがIBM PC向けに開発したMS-DOS（Microsoft Disk Operating System）は、パーソナルコンピュータ市場に大きな影響を与えました。MS-DOSは、シンプルなコマンドラインインターフェースを提供し、広範囲なサードパーティ製アプリケーションのエコシステムを形成しました。

Apple Macintosh OS (1984): AppleのMacintoshが登場し、Graphical User Interface（GUI）を提供する初期のOSの一つでした。GUIの採用は、ユーザー体験を大きく変え、コンピュータの操作を直感的にしました。Mac OSは、その後のGUIベースのOSに多大な影響を与えました。
 

後編に続く