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日本のお盆について(前編)

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日本のお盆について(前編)

日本のお盆について(前編)

2026/08/10

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# 日本のお盆とは何か

## ―その由来・歴史・日本各地の風習と文化を詳しく学ぶ―

## はじめに――日本人にとって「お盆」とは

日本の夏を代表する年中行事の一つに「お盆」があります。

「お盆」と聞くと、多くの人は、夏休み、帰省、墓参り、仏壇へのお供え、盆踊り、迎え火、送り火などを思い浮かべるでしょう。

特に現代では、8月中旬に多くの人が故郷へ帰省することから、「お盆=夏休み」というイメージも強くなっています。しかし、お盆の本来の意味は単なる休日や帰省行事ではありません。

お盆は、基本的には**亡くなった先祖や故人の霊を迎え、供養し、再び送り出す行事**です。

正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と呼ばれます。「盆」はその略称として定着したものです。国立国会図書館の資料でも、盂蘭盆会について、起源や歴史的変遷を扱う研究書が多数確認できます。

ただし、現在の日本のお盆を理解するためには、仏教だけを見ていてはいけません。

日本のお盆には、

* インド・仏教に由来する思想
* 中国で発展した仏教行事
* 日本に古くからあった祖先祭祀
* 農耕社会の季節行事
* 死者の霊魂を迎えるという日本独自の民俗信仰
* 地域共同体の芸能
* 家族や親族が集まる習慣

などが複雑に重なっています。

そのため、同じ「お盆」という名前で呼ばれていても、地域によって内容は大きく異なります。

例えば、京都では山に巨大な火文字を灯す「五山送り火」が行われ、長崎では爆竹の音とともに「精霊流し」が行われます。沖縄では旧暦7月15日の「ウークイ」に先祖を送るとともに、エイサーが行われます。国立歴史民俗博物館の研究でも、東北・九州・近畿などで墓参りや墓地での飲食など、盆行事に大きな地域差が存在することが示されています。

つまり、お盆とは、

**「日本人が長い歴史の中で、死者と生者との関係を考え、祖先を迎え、もてなし、そして送り出してきた文化」**

と考えることができます。

---

# 1.「お盆」という名前の意味

## 1-1 正式名称は「盂蘭盆会」

「お盆」という言葉は、「盂蘭盆(うらぼん)」あるいは「盂蘭盆会(うらぼんえ)」から来ています。

一般には、

**盂蘭盆会 → 盂蘭盆 → 盆 → お盆**

という形で短く呼ばれるようになりました。

ただし、「盂蘭盆」という言葉そのものの語源については、昔からいくつかの説があります。

よく知られているのは、サンスクリット語の「ウッランバナ(ullambana)」などと関連付ける説です。

一方、近年の研究では、この語の語源について単純に「サンスクリット語のウッランバナ=逆さ吊り」と断定することには慎重な見方もあります。

国立国会図書館のレファレンス資料でも、盂蘭盆の語源には複数の説が紹介されています。

したがって、

「お盆という言葉は○○語から来ていて、意味は絶対に○○である」

と単純化するのではなく、

**古代インド・中国などの仏教文化圏で成立した「盂蘭盆」という宗教行事が日本に伝わり、その後、日本独自の祖先祭祀と結び付いて現在のお盆になった**

と理解する方が分かりやすいでしょう。

---

# 2.お盆の起源――目連尊者の物語

お盆の由来を説明するとき、非常によく登場するのが「目連(もくれん)」の物語です。

目連は、釈迦の弟子の一人です。

仏教では「目連尊者」と呼ばれ、非常に優れた神通力を持った人物として知られています。

ある時、目連は亡くなった母親が死後どうなったのかを神通力によって見ました。

ところが、母親は死後、餓鬼道で苦しんでいました。

目連は母親を救いたいと考え、釈迦に相談します。

すると釈迦は、目連一人の力ではなく、多くの僧侶たちに食事などを供養することによって、その功徳を母親に向けるよう教えた、という話が伝えられています。

その日が7月15日だったとされ、この物語が盂蘭盆会の起源として説明されるようになりました。

この物語から分かる重要な点は、

**「自分だけが修行して救われる」のではなく、亡くなった家族のために生きている人が善行を行い、その功徳を故人に向ける**

という考え方です。

これが、後のお盆に見られる、

* 食べ物を供える
* 水や花を供える
* お経をあげる
* 僧侶を招く
* 先祖を供養する

といった行為につながっていきます。

---

# 3.中国で発展した盂蘭盆会

仏教はインドで生まれ、その後、中国へ伝わりました。

中国では仏教が現地の文化と結び付き、さまざまな仏教行事が発展しました。

盂蘭盆会もその一つです。

日本の現在のお盆を理解するためには、インドの仏教だけではなく、**中国で発展した仏教文化**が重要です。

中国では、先祖を供養する思想や、死者に食べ物などを供える文化が仏教と結び付いていきました。

そのため、日本へ伝わった時点で、盂蘭盆会は単純な「インドの仏教行事」ではなく、東アジアの文化の中で変化した宗教行事になっていました。

国立国会図書館のレファレンス資料でも、盂蘭盆会について、中国で成立・発展した仏教行事が日本へ伝来したという歴史的な説明が紹介されています。

---

# 4.日本にお盆が伝わったのはいつか

日本のお盆の歴史を考える際に重要なのが『日本書紀』です。

国立歴史民俗博物館の講演資料では、日本のお盆に関する記録は、古くは**斉明天皇3年(657年)**の記事までさかのぼることが紹介されています。

つまり、現在のような形ではないにしても、7世紀にはすでに日本で盂蘭盆に関係する行事が知られていたと考えられます。

この時代の日本は、仏教が国家や貴族社会に深く浸透し始めていた時期です。

寺院が建設され、仏教の経典が読まれ、国家的な仏教行事も行われるようになっていました。

その中で盂蘭盆会も日本に定着していったと考えられます。

ただし、当時のお盆が現在のように一般庶民の家庭で行われていたわけではありません。

初期のお盆は、主として**宮廷・貴族・寺院などを中心とする仏教的な行事**だったと考えられています。

---

# 5.奈良・平安時代のお盆

奈良時代から平安時代にかけて、仏教は日本社会にさらに深く浸透していきました。

先祖供養や死者の冥福を祈るための仏事も盛んになります。

貴族社会では、亡くなった家族のために寺院で法要を行ったり、僧侶に読経を依頼したりすることが一般的になっていきました。

お盆もそのような仏教行事の一つとして発展していきます。

しかし、日本ではもともと、仏教が伝わる以前から死者や祖先を大切にする文化が存在していました。

日本人は古くから、

「亡くなった人は完全に消えてしまうのではなく、何らかの形で生きている人々と関係を持つ」

という死者観を持っていたと考えられています。

このため、

**仏教の盂蘭盆会**

**日本古来の祖先祭祀**

が次第に結び付いていきます。

これが日本のお盆の大きな特徴です。

---

# 6.日本古来の祖先信仰との融合

日本のお盆を理解するうえで最も重要なポイントの一つが、この「融合」です。

仏教だけでお盆ができたわけではありません。

日本には古くから、

* 先祖を大切にする
* 先祖の霊を迎える
* 食べ物を供える
* 家族で祭る
* 村全体で祖先を供養する

という文化が存在しました。

そのような日本の民俗文化に、仏教の盂蘭盆会が重なっていったのです。

国立歴史民俗博物館の研究では、民俗学者の柳田國男が、仏教行事としての盂蘭盆とは別に、死者に供える飲食物の容器などに関係する「盆」の文化を想定していたことも紹介されています。

つまり「お盆」という文化を一つの起源だけから説明するのは難しいのです。

日本のお盆は、

**仏教+祖先信仰+季節行事+農村文化+地域共同体**

が長い時間をかけて重なってできた文化なのです。

---

# 7.江戸時代にお盆が庶民の生活へ広がる

お盆が現在のように日本人の生活に広く定着するうえで重要なのが江戸時代です。

江戸時代には寺院と地域社会の結び付きが強まり、檀家制度などを通じて、人々の生活と仏教が密接になりました。

家ごとに仏壇を置き、先祖を供養する文化も広がっていきます。

こうしてお盆は、

「寺院で行う特別な仏教行事」

から、

**「各家庭で先祖を迎える年中行事」**

へと変化していきました。

さらに江戸時代には、地域社会の祭りや芸能も発展します。

盆踊りもその一つです。

盆踊りは単なる娯楽ではなく、もともとは死者の供養と結び付いた芸能でした。

現在では、

「夏祭り=盆踊り」

というイメージがありますが、その背景には、

**先祖を供養し、地域の人々が一緒に踊る**

という宗教的・共同体的な意味があります。

---

# 8.なぜ「7月」なのか

本来、盂蘭盆会は旧暦7月15日を中心として行われる行事でした。

旧暦の7月15日は、現在の暦とは一致しません。

明治時代に日本が太陽暦を採用すると、お盆の日程にも変化が生じました。

その結果、現在の日本では大きく分けて、

### 7月盆

7月13日~16日ごろ

### 8月盆

8月13日~16日ごろ

### 旧盆

旧暦7月15日前後

という三つの形が見られます。

特に全国的には8月中旬のお盆が広く知られています。

これは「月遅れ盆」と呼ばれることもあります。

---

# 9.なぜ8月のお盆が多いのか

「お盆は7月15日なのに、なぜ8月なのか」という疑問を持つ人もいるでしょう。

明治時代に太陽暦が導入されたことで、それまで旧暦7月に行っていた行事を新暦7月にそのまま移すと、季節感や農作業の都合が変わってしまいました。

農村社会では7月が農繁期に重なる地域も多く、行事を行うには都合が悪い場合がありました。

そこで、旧暦の7月に近い季節感を保ちながら、新暦では8月に行う地域が増えていきました。

その結果、

**8月13日~16日ごろのお盆**

が全国的に広く定着しました。

ただし、これは全国一律ではありません。

例えば東京都など都市部の一部では7月盆が残っています。

一方、沖縄などでは旧暦によるお盆が現在でも重要です。

---

# 10.お盆の基本的な流れ

地域や宗派によって違いがありますが、一般的なお盆は次のように進みます。

## 8月13日ごろ――迎え盆

先祖の霊を迎える日です。

家庭では仏壇を整え、盆棚を設置し、供物を用意します。

そして夕方などに「迎え火」を焚きます。

これは、

**「こちらが家ですよ。どうぞお帰りください」**

という意味を持つ火です。

---

# 11.迎え火とは何か

迎え火は、お盆に先祖の霊を家へ迎えるための火です。

昔は門口や玄関先などで麻幹(おがら)を燃やす習慣が広く見られました。

火は暗い夜道を照らす「道しるべ」のような意味を持ちます。

つまり、

**火によって先祖の霊が帰ってくる場所を示す**

と考えられたのです。

ただし、地域によって方法は異なります。

都市部では火災防止や住宅事情から、実際に火を焚かず、簡略化する家庭も増えています。

---

# 12.盆棚・精霊棚

お盆には、仏壇とは別に「盆棚」「精霊棚」と呼ばれる祭壇を設ける地域があります。

ここには、

* 位牌
* 仏花
* 水
* 果物
* 野菜
* 菓子
* そうめん
* お団子
* 故人が好きだった食べ物

などを供えます。

盆棚は、

**「この期間、先祖を家庭で丁寧にもてなすための場所」**

と考えると分かりやすいでしょう。

つまり、お盆では先祖を単に「拝む」のではなく、

**家に迎えて、一緒に過ごし、食事を供え、最後に送る**

という考え方が重要なのです。

---

# 13.なぜナスとキュウリなのか

お盆の代表的な飾りとして、

* キュウリ
* ナス

があります。

これらに割り箸などを刺して動物の形にしたものを、

**精霊馬(しょうりょううま)**

と呼びます。

一般には、

キュウリ=馬

ナス=牛

とされることが多いです。

馬は足が速いことから、

**「ご先祖様が早く帰ってこられるように」**

という意味。

牛はゆっくり歩くことから、

**「帰りはゆっくり帰ってください」**

あるいは、

**「供物をたくさん持って帰ってください」**

という意味があると説明されます。

ただし、この解釈も全国共通ではありません。

地域によって意味や作り方が異なります。

国立国会図書館のレファレンス事例でも、ナスやキュウリを使う理由について複数の説明が紹介されています。

---

# 14.お盆のお供え物

お盆のお供え物には、地域によって非常に多くの種類があります。

代表的なのは、

* 果物
* 野菜
* 団子
* そうめん
* おはぎ
* 精進料理
* 水
* お茶
* 故人の好物

などです。

ここで重要なのは、

**「先祖に食事を与える」という考え方**

です。

もちろん宗教的には、供え物そのものを故人が現実に食べるという意味ではありません。

供物には、

「故人を忘れていない」

「家族が元気に暮らしている」

「今年も帰ってきてください」

という、生きている人間側から死者へのメッセージという意味があります。

---

# 15.墓参り

お盆といえば墓参りです。

墓を掃除し、

* 水をかける
* 花を供える
* 線香をあげる
* 食べ物を供える
* 手を合わせる

という行為を行います。

ただし、ここにも地域差があります。

国立歴史民俗博物館の研究では、**東北地方北部や九州地方南部では、お盆に墓地で飲食する習俗が見られる一方、近畿地方の農村部では墓地を死の穢れの場所として避け、お盆でも墓参りをしない地域さえある**ことが紹介されています。

この違いは非常に興味深いものです。

つまり、

「お盆=必ず墓参り」

ではありません。

お盆は地域社会の死者観によって、かなり違った形を取ってきたのです。

---

# 16.新盆・初盆とは

亡くなった人が初めて迎えるお盆を、

**新盆(にいぼん)**

または

**初盆(はつぼん)**

と呼びます。

地域によって呼び方が違います。

新盆は、通常のお盆よりも丁寧に供養することがあります。

親族が集まり、僧侶を招いて法要を行ったり、特別な飾りを用意したりします。

故人が亡くなってから初めて迎えるお盆であるため、家族にとっても特別な意味を持つのです。

ただし、「亡くなった時期によって最初の盆をどう数えるか」などは宗派や地域によって異なるため、具体的な作法については菩提寺や地域の慣習を確認する必要があります。

---

# 17.送り火

お盆の最後には、先祖の霊を送り出します。

そのために行われるのが、

**送り火**

です。

迎え火が「お帰りください」という火なら、送り火は、

**「また来年お越しください」**

という意味を持つ火です。

これも全国各地でさまざまな形に発展しました。

---

# 18.京都の五山送り火

日本を代表する送り火が、京都の「五山送り火」です。

毎年8月16日の夜、京都を囲む山々に、

* 大文字
* 妙
* 法
* 船形
* 左大文字
* 鳥居形

の火が順番に灯されます。

京都市公式観光サイトによると、五山送り火はお盆に迎えた精霊を送る伝統行事であり、五つの送り火はすべて京都市登録無形民俗文化財です。

五山送り火の起源については諸説があり、正確な開始時期は明確ではありません。

京都市の説明でも、送り火そのものは盆の翌日に精霊を送る仏教的行事とされ、中世以降の仏教文化の広がりと関係すると説明されています。

また、現在の五山の形がいつ完成したかについても複数の説があります。

重要なのは、

**山に巨大な文字や図形を描くことで、地域社会全体が一緒になって先祖の霊を送る**

という点です。

---

# 19.五山送り火の五つの形

五山送り火には、それぞれ特徴があります。

### 大文字

東山如意ヶ嶽に「大」の文字が浮かびます。

最も有名な送り火です。

### 妙・法

松ヶ崎の山に「妙」と「法」が灯されます。

二つで一組です。

### 船形

西賀茂の船山に船の形が浮かびます。

### 左大文字

大北山に「大」の文字が灯されます。

### 鳥居形

嵯峨鳥居本の曼荼羅山に鳥居の形が浮かびます。

京都市の公式情報でも、この五つが現在の五山送り火を構成していることが確認できます。

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# 20.盆踊りの意味

夏になると全国各地で盆踊りが開催されます。

現在では、

「浴衣を着て、やぐらの周りで踊る夏祭り」

という印象が強いでしょう。

しかし、その背景には先祖供養があります。

盆踊りは、

**お盆に帰ってきた祖先の霊を慰め、送るための踊り**

という側面を持っていました。

同時に、村人同士が集まる重要な地域行事でもありました。

そのため盆踊りは、

**宗教+芸能+地域コミュニティ**

という三つの側面を持っています。

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メディアックパソコンスクール 橋本教室
252‐0144
住所: 神奈川県相模原市緑区東橋本 2丁目35-11 102号室
電話番号 : 042-703-7962


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